訓練によって体のここの部位と対応する脳の部位の配置【脳地図】が書き換えられるというのである。
神経科学者のカーラ・シャッツは言う。
「一緒に発火するニューロンは一緒につながる」
ある実験でサルの指2本を結び付け、数か月間、実質的に1本の指として機能するようにしたところ、以前は2本の指それぞれ分かれて対応していた脳地図が1つに融合することがわかった。
これは極端な例だが、ほかにも多くの例が訓練によって脳の地図が書き換えられることを示している。
また面白い事例がある。
海外でのたばこのラベルに喫煙者を脅かすことを目的とする警告ラベル(ひどい症状をあらわに映した画像)があしらわれているのだが、実はこの警告ラベルが全く逆の効果「たばこを吸いたい気持ちにさせる」というのである。
脳科学的にはこの警告ラベルを見た時と、たばこに対する強い欲求を満たす時の快感を連想させるというのだ。
つまり、
この作用を意識・利用しているのが、ブランディングなのではないか。
パブロフを思い出してほしい。
エサの時間を知らせるベルの音を聞くと、エサが出されなくてもよだれを流すよう犬を訓練したあのパブロフだ。
「ブランド」も実はあなたの脳を同じやり方で訓練しているのだ。
カリフォルニア工科大学の研究により、特定のシンボルには実際に感じた味を連想される力があり、そのシンボルを見せられただけで、人の脳は活性化することが分かった。
被験者がその味をもたらす報酬を気に入っていればいるほど、脳内で学習された反応が強く出る。
例えば、マクドナルド好きな人は「M」のロゴを見ただけで、食べたい欲求が高まるのでは?
商品に込められたブランドメッセージは何を媒介して人の脳に訴えかけるのか。
例えば、コカ・コーラやマルボロのシンボルカラーは「赤」
長年マルボロがスポンサーを務めたレースチームの車と似ている。
その赤いレースカーを見ただけでマルボロを連想するのだ。
ブランド名や商品名を出さなくとも、その商品に対する欲求を刺激できるのだ。
つまり、首尾一貫した「メッセージ=色や匂いや形」などを発信することによって人々の脳に直接訴えかける事ができる。
ブランドの特性以上に、顧客経験がこの手の連想をもたらす要因となる。
例えば、カルディという輸入食品店がよく店頭でホットコーヒーを配っていたりする。
これは来店時に気分を良くさせることによって、店やスタッフに対して第1印象が良くなり、その中で売っている商品に対しても好意的に受け取るように脳が働くようになるのだ。
こういった戦略はあらゆる業種業態で応用が利くものだと思う。
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